2010年8月16日月曜日

第4回 クロスレビュー Lee Morgan "Lee-Way"(Blue Note)

1.These Are Soulful Days(Calvin Massey)

2.The Lion and The Wolff(Lee Morgan)

3.Midtown Blues(Jackie McLean )

4.Nakatini Suite(Calvin Massey)



Personnel: Lee Morgan(tp), Jackie McLean(as), Bobby Timmons(p), Jimmy Paul Cambers(b),
                Art Blakey(drms)







McLean Chanceの場合



これ、1960年の録音ですが、メンバーを見ると、モーガン、マクリーン、ティモンズ、チェンバース、そして、ブレイキーって、これ、チェンバースを除いて、メッセンジャースの現/元メンバーじゃないですか(聴かなくても音が聴こえてきそうです)。そう。これ、「隠れメッセンジャース」でして、しかも、当時はモーガン、ショーターのフロントで、しだいにショーター色になっていきましたから、これは『モーニン』ファンのためのアルバムですね。ですから、実質的なリーダーはブレイキーであり、現場もブレイキーとライオンが仕切っていたのだと思います。



こういう風に書くと、売れ線狙いの、今聴くとどうなんだろ。という類いのものを想像されてしまうかもしれませんが、さにあらず。これ、知名度は『キャンディ』や『リー・モーガンvol.3』より圧倒的に落ちますが、ハードバップの名盤ですよ。



まずこのアルバム、構成がとても良くできてますね。4曲ってことは、LPで片面2曲づつ。まあ、これはブルーノートは曲数を偶数にするのが好きですから、特にこのアルバムの特徴ではないですが、A面がカルヴィン・マッセイ「These are Soulful Days」、モーガン自作の「The Lion and The Wolff」で、B面がマクリーンの「Midnight Blues」と、マッセイ「Nakatini Suite」となっています。つまり、マッセイとオリジナルでできてるんですね。この辺はライオンとブレイキーのアイディアですね。曲名も「ソウルフル」とか「ブルース」とか、狙いまくりですな。モーガンの曲名はちょっとしたお遊びでしょう。



更に、A面をマクリーン、B面をモーガンのフィーチャリングとしてるのは、明らかにブレイキーのアイディアなのではないでしょうか。



これ、ブレイキー=ライオンががっちり組んで作ったのでしょうね。1日で録ってますが。



ここですよ。聴きどころは。このマクリーンのファナティックな音色で指がもつれていようがお構いなしのアルトですよ。で、やんちゃにテーマのメロディそっちのけで先へ先へ進むのがラッパのモーガンですよ。という具合に、ベタなくらいにサーヴィス精神旺盛でリスナーを喜ばせるこのあり方は、マイルス『カインド・オブ・ブルー』が何だがわかんないけども、ずっと売れ続けるのと正反対で面白いですね。



こういう、役者が揃い、展開もおおよそ予想できるにもかかわらず、やっぱり聴くと感動させてしまう辺りが、結局のところ、ハードバップ、ひいてはジャズメッセンジャースの魅力だったのではないかと思います。





渡辺信順の場合



~リー・モーガンの『リー・ウェイ』は水戸黄門である。~







リー・モーガンは印籠係の助さんである。

ジャッキー・マクリーンは肉体を武器にする角さんである。

ボビー・ティモンズは、高給パートタイマーの弥七である。残念ながら、由理かおるではないので、入浴シーンはない。

ポール・チェンバースはうっかり八兵衛である。やはり入(以下同文)

そしてアート・ブレイキーは水戸黄門である。ここはくりかえさない。





……っていうかさ、このアルバム、何をどう語れっていうのかね。実はこのクロスレビュー、本当はもう少し早く書き上げなきゃいけなかったんだけど、全然筆が進まなかった。理由は自分自身の事情で忙しかったというのが建前上の理由。

けどさ、本当のこと言っちゃうと、これ聴いて書くことなどないのだ。何を書いても最後には、「いいから黙って『リーウェイ』聴きやがれ、コラ!」の「コラコラ問答」になっちゃう。







いきなり1曲目でもうタバコの匂いがもモウモウと垂れ込める空間に誘われてしまって、もう音楽を聴くというか、酔っ払うしかないという感じ。

しょっぱなのソロがポール・チェンバースのベースというのも笑えるが(入浴シーンでないのが残念だ)、次にマクリーンが入ってくると、アルバムの出来とか音楽の出来とかもうどーでもよくなってしまってただただマクリーン角さんに身を任せるようにロープに振られ、ラリアットを受けるのだ。ちなみにそういう趣味ではないが。

ブレイキーのご老公が「助さん角さん、もうこのへんでいいでしょう」と言ったのかどうかは知らないけども、リー・モーガンがラッパ吹いちゃうともう何もかもどーでもよくなってしまうというか。フッサールのいうところのエポケーですね。うそです。







モーガンがタバコを吹きながらトランペットを吹いているジャケット写真がいいですね。入浴だったらもっと良かったですね。すいません。しつこくて。ファンキーとは、反復ですからね。

そんなことやってたら肺に悪いっすよとか言いたいけども、オネエチャンに12年後に射殺されるので、まあすきなだけお吸いください。

一切の理屈とか関係なく、ただただ聴くしかないのが『リー・ウェイ』かなっていう気がする。残念ながら入浴シー(以下省略

0 件のコメント:

コメントを投稿